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Suntory Hall Chamber Music Garden
サントリーホール チェンバーミュージック・ガーデン
会場:サントリーホール・ブルーローズ
写真提供:サントリーホール
クァルテット・エクセルシオの
皆さんに
サントリーホール
チェンバーミュージック・ガーデンへの
思いをうかがいました
ヴァイオリン:西野ゆか
Yuka Nishino, violin
ヴァイオリン:山田百子
Momoko Yamada, violin
ヴィオラ:吉田有紀子
Yukiko Yoshida, viola
チェロ:大友 肇
Hajime Otomo, cello
6月7日から始まるサントリーホール チェンバーミュージック・ガーデン(以下CMG 会場:サントリーホール・ブルーローズ)で、4年連続で参加し、またサントリーホール室内楽アカデミーの講師としても活躍しているクァルテット・エクセルシオの皆さんに、CMGへの思い、聴きどころ等を語っていただいた。
CMGへの思い
大友「二年間のアカデミーでやってきたこと、
フェローの皆さんに大いに発揮してもらう、
そういう出番としてもたくさんありますし、
またベートーヴェンの弦楽四重奏曲を
これまで海外の団体が演奏しに来てくださって、
非常に刺激的な場です。
一定の盛り上がった空間を共有できますし、
またこれだけ内容が盛りだくさんですので、
とても幸せですし、他にはないテンションがあります。」
西野「私達は大晦日に
ベートーヴェンの弦楽四重奏曲の演奏会を
長年続けていますが、
これが下半期の最も大きなイヴェントならば、
サントリーホール チェンバーミュージック・ガーデンは、
上半期の一大イヴェントです。」
大友「私達が演奏する公演は4つですが、
毎日めくるめく思いで過ごしています。」
西野「フェローの指導者としてもどきどきしますし、
ベートーヴェンの弦楽四重奏曲全曲演奏会では
聴く方になるわけですが、
毎年、素晴らしい団体(今年はキュッヒル・クァルテット)の
演奏で刺激を受けます。
私達が演奏するときも、
ゲストの方と共演することもあって、
そこでまた新たな風が吹く感じが素晴らしいです。」
サントリーホール室内楽アカデミーの
講師として
──フェローと演奏する気持ちは?
吉田「親心みたいな気持ちですね(笑)。
一緒に弾くことがお互いに
とてもいい刺激になっています。
毎月のセッションがあった上で、
一緒に音を出す、
そこに充実したものを感じます。」
山田「お客様の前で弾くときに、
舞台上ではこれだけのテンション、
表現力などを求められるということを
フェローは自覚するでしょうし、
私達もそれに対して
どのようなアドヴァイスをしたらよいのか、
ということで気持ちが高まります。
また若い才能と共演できる、という楽しみもあります。
長い時間かけて作り上げてきたものが、
披露するときにどのような結果になるのか、
そういう意味では責任も感じます。」
吉田「私達も先輩や憧れている方々と演奏することは、
とても楽しい事でした。
それが、自分たちが年上になって
若い方々と演奏するということは、
こちらとしてもプレッシャーですね(笑)。」
──経験の差というものがあると思いますが。
大友「それをその場の空気で、伝えていく、
というのはあると思います。
音楽というのは、会話ですから。」
コアなファン、さらに新しいファンも
西野「一番大切なのは、皆が楽しんで演奏して、
お客様にそれを伝えていく、
ということだと思います。」
山田「演奏曲目としては、
けっこう珍しいものもあるのですが、
有名な曲だけでなく、
聴いたことのない曲も
楽しんでいただける雰囲気があります。
これまでのCMGで、
お客様も室内楽を聴き続けるということに
良い意味で慣れてこられたように思います。
お客様の期待度は年々上がってきていることを感じます。」
大友「CMGでは、
お話を入れながらコンサートをする場が
とても多いのですね。
例えば、EnjoyWeekendでは、
お話を入れて、お客様により近い距離で
親しみをもっていただくことをしています。」
エクセルシオの皆さんは、通常のコンサートでも行なっている演奏会終了後にロビーでお客様との触れあいの場をCMGでも設けている。舞台と客席ではなくて、聴衆とダイレクトに触れ合える場でさらにファンが増えている。
舞台の上でのお話で、楽曲とお客様とをコミットする、ということだけでなく、それ以外の場、距離の近い、親密感のある交流の場を設けているのもCMGの特徴である。
舞台上で話すこと
大友「毎年トークする役は交代で変えています。
それぞれキャラクターがあるので、
しゃべる内容も変わっていきます。
トークがあって良かった、
という反応はたくさんあります。
もっと話があったら良かった、という声もあります。」
西野「私達は演奏しているときには
演奏に集中しているので、
お客様の空気を感じることはできますが、
じかに表情を見ることはできないですが、
トークのときは、リアクションがダイレクトなので、
私達にとっても距離感が縮まるという実感があって、
トークの後の演奏も変化してきます。」
大友「よくしゃべるのは、
アカデミックなことよりも、
自分たちが経験したなかで思うこと、とか、
楽曲に対する私達の思い、聴き所、ですね。
楽曲そのものを深く掘り下げるよりは、
エピソード的なことをよく話します。」
山田「よりその楽曲に
興味をもっていただけるような話をしたいな、
と思っています。
例えば、
モーツァルトがハイドンに
どのような憧れをもっていたのか、
また、私達が興味を持っている音型を
取り出して紹介してみたり。
音楽の詳しい理論を知らなくても
興味深く聴くことはいくらでもあるわけですね。」
クァルテットの深さ
大友「ふだん、その日その時、という限定でなくて、
ここ最近、ここ何ヶ月か、という単位で、
変化というものはあると思います。
それはふだんの生活そのものが
関わってくることだと思います。
最近影響を受けていることとか、
最近見たもの、食べたもの、考えたこと、読んだ本、
常に何かに影響を受けつつ、
それがクァルテットの演奏に変化をもたらしている、
ということはあると思います。」
西野「20年の中で、最重要視したいことというのは、
勿論、いろんなことを含めて表現するのですが、
最も大事に聴かせたいというのは、
年々変化してきます。
それは勢い・流れを大事にしたいのか、
その時の空間・タイミングを大事にしたいのか、
ハーモニー、リズム感を打ち出したいのか、
といったことで変わってきていると思います。」
山田「歳と共に時間の感じ方が変わってきたな、
と思います。
今までさっと通り過ぎてきたことに
実はもの凄く大事なことがあった、
ということに気づく事もあります。
例えば、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲は、
幸いなことに何度も演奏する機会があるので、
もう一度振り返ったときに、
あ、ここにこんな大事な要素があるのに
見過ごしていた、という発見があって、
次に演奏する時に、
そこがちゃんと分かるように
聴いていただけるようにするために、
工夫をします。」
西野「それは、本当にCMGの場で、
いろいろな演奏家の方々と共演させていただき、
フェローの方々を指導する、
といったことのおかげもあると思います。」
吉田「アンテナの量が大変に増えたということですね。」
山田「人にアドヴァイスしていることは、
潜在意識の中にある、
自分のこだわっていることなのかもしれないですね。」
──かつては、完璧な演奏(何をもって完璧なのか、という議論はさておき)、アインザッツ、ハーモニー……が好みでしたが、今は、演奏家の皆さんの一期一会的な音楽の対話、パワー、絶妙なタイミング……といった演奏が好きです。
西野「まったくその通りだと思います(笑)。」
山田「私達4人はそれぞれがある意味指揮者で、
場面場面で、音楽をつくっていく、というのが、
自然に思うんです。」
終わった瞬間
吉田「CMGの2年目、今回の4年目が、
ちょうど現在、在籍しているフェロー(期間2年)の
終わる年なので、
感慨深いものがあります。」
大友「二週間はまるでお祭りのような感じで、
フェローの演奏やリハーサルにも立ち会ったり、
毎日、何らかの形でCMGに接していますから、
テンション高く、大変ですが、
終わると寂しい気持ちがします。」
吉野「スタッフの皆様は本当に大変だと思います。」
クァルテット・エクセルシオは、
6月7日(土)のガーデンオープニング(18時開演) 堤 剛プロデュース2014から登場し、堤 剛さん、髙橋 梓さんとの共演で、ブラームスの弦楽六重奏曲第2番ト長調op.36を演奏する。
6月13日(金)11時~12時のENJOY!ウィークエンドでは、ハイドンの弦楽四重奏曲「冗談」から第1楽章、ボロディンの弦楽四重奏曲第2番から第3楽章「ノクターン」、武満徹のア・ウェイ・ア・ローンを。ベートーヴェンの弦楽五重奏曲op.29から第1楽章、メンデルスゾーンの八重奏曲をクァルテット・ソレイユとの共演で演奏。
6月21日(土)14時半~15時半には、ハーピストの吉野直子さんとシェーファーのテーセウスを共演する。
6月22日(日)13時半からのフィナーレで、ゴリホフのラスト・ラウンドを演奏する。ピアソラを尊敬するゴリホフがピアソラが亡くなったときに捧げた楽曲である。
チェロ:大友 肇
ヴァイオリン:西野ゆか
ヴィオラ:吉田有紀子
ヴァイオリン:山田百子
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