楽譜を読むのは、趣味

 

──カルテットの名称についてうかがいます。資料には、キュッヒル・カルテットとウィーンムジークフェライン・カルテットの両方の名前がありますが。

 

「ウィーンムジークフェライン・カルテットという名前は、レコード会社のデッカが、録音した時の名称、つまりCDのための名称ですね。です。今日では、室内楽の録音というものがなかなか難しくなってきていますので、デッカの方の新しい録音の企画はなくなってしまいました。ですからキュッヒル・カルテットとして、やっております。」

 

──150年の伝統ある名前とうかがっていたのですが。

 

「たぶん、この名前は正式にはなかったのではないかな。ロゼー弦楽四重奏団があり、シュナイダーハン弦楽四重奏団があり、ボスコフスキー四重奏団があり、バリリ弦楽四重奏団、というウィーン・フィルの弦楽四重奏団の伝統があります。例えばバリリ弦楽四重奏団がウィーンムジークフェライン・カルテットと呼ばれていたか、それは分からないですが。」

 

──この名前は現在は使われていないということですね。

 

「そうです。」

 

──ご自身は、オーケストラのコンサートマスターのお仕事があり、ウィーン国立音大があり、そして、ソロ、室内楽、……もう本当にお忙しいですね。

 

「これもやはり、エネルギーは音楽から来るものです。音楽に取り組んでいくということは、私にエネルギーを与えてくれます。勿論、一緒に演奏する仲間がいて、上手くチームワークが組めれば、より厚みがそこから生まれてくると思います。

それに私は、楽譜を読むのが趣味ですから。」

 

──使用されている楽器について伺います。

 

「私がふだん弾くのは、ストラドのシャコンヌや、フランスのヴィヨーム系のレザレイ、ウィーンのヴァイオリン、そしてヤマハの楽器も弾きます。使い分けています。ソナタを演奏するときは、レザレイはいいですよ。」

 

──曲に応じて使い分ける?

 

「そうでもないです(笑)。ずっと使わないでいるのは楽器にとってよくないですから、時々使い分けています。」

 

──カルテットの場合は?

 

「それも使い分けていろいろ弾いています(笑)。」

 

──聴衆にメッセージを。

 

「どうか一晩だけではなくて、毎日計6日間、全部、私達の演奏を聴きにいらしてください。特に最終日は、ピアノ・ソナタを1曲と、そのソナタから編曲された弦楽四重奏曲、そして五重奏もあります。これは、皆様方が今までお聴きになったことのないものなので、是非聴きにいらしていただきたいと思います。

 

是非、皆様、キュッヒル・カルテットのベートーヴェンの弦楽四重奏曲の全曲演奏にどうぞお越しください。毎晩いらしてください。」(取材/アッコルド)

2014年の

サントリーホールチェンバーミュージック・ガーデンに、

ウィーン・フィルのコンサートマスターとして活躍している

ライナー・キュッヒルさん率いる

「キュッヒル・クァルテット」が登場する。

勿論ベートーヴェンの弦楽四重奏曲全曲を演奏する。

 

キュッヒルさんに、その1に引き続き、

この大きなプロジェクトを前にしての抱負を伺った。

私達のベートーヴェン弦楽四重奏曲の演奏を

全部聴いてください。〈2〉

──ライナー・キュッヒル