top of page

今年も、ホルン奏者 ラデク・バボラークさんが

室内楽アカデミー ゲストコンサートに登場。
「サントリーホール室内楽アカデミー」は、

学業期を終えた若手奏者のキャリアアップの場として

2010年に開講。

そのアカデミー・フェロー(受講生)選抜メンバーと

バボラークさんが共演する。
1月13、14日に行なわれた

「サントリーホール室内楽アカデミー」ワークショップでの

指導の後、バボラークさんにお話をうかがった。

ホルン奏者

ラデク・バボラークさんに訊く〈1〉

まずは何より『人生』というのが大事

 

── サントリーホール室内楽アカデミーで指導されて、いかがでしたか?

 

「若い人たちとリハーサルをしたり、一緒に勉強したり。指導することはすごく楽しいので、充実した時を過ごしました。


指導する際、その奏者と音楽との関係性をくずしたくないので。

 

私は15〜17歳くらいの頃、音楽院に在籍していましたが、その当時、クラシック音楽が『自分の中で一番大事なもの』というわけではありませんでした。どちらかというと、オーケストラに入ってからクラシック音楽に目覚めたのですね。


ですから、若い人たちにとって、まずは何より『人生』というのが大事だと思っています。そのため、それぞれの演奏家と音楽との関係をくずしたくない、と考えていますので、あまりたくさん喋る、ということはしませんが、作品の背景や、作曲家のことなど、お話しできることはいろいろとあります。


特に今回のような室内楽の場合には、耳と、心とをオープンにして、アンサンブルというのはどういうものか、というのを聴いてもらう、味わってもらう、ということを意識しました。」

 

── フェロー(受講生)の弦楽器奏者が、音楽を作る上での息づかいが勉強になった、と話していました。

 

「弦楽器に限らず、管楽器奏者でも楽器を弾くことに気を取られてしまうと、不自然な浅い呼吸になってしまうことがあります。ですから、音楽的な息づかいに関しては、決して弦楽器奏者だけの問題ではないのです。


それをどのようにアドバイスしたら良いか、非常に難しいのですが・・・


例えば、深いところに潜らなければならないときは、それに必要な分の酸素を取り込まなければ潜れませんね。そういった考え方です。」

 

── チェンバーミュージック・ガーデンでは、室内楽アカデミーフェローとのコンサートがあります。

 

「アカデミーフェローと弾かせていただくこともそうですが、この大きなプロジェクトの中で演奏させていただくこと、室内楽専用のホールで弾かせていただくこと。全てが素晴らしい経験です。」

 

ホルンは7歳から

 

── ホルンを習い始めた頃のお話をうかがいたいのですが。

 

「ホルンを始めたのは7歳です。私自身には、どうしてホルンを選んだのかは分かりませんが、母の家系が全員音楽家で、楽器指導者なので、私も自然に楽器をやる雰囲気になっていました。最初はピアノを弾いたり、リコーダーを吹いたりしていて、少しだけですが、オーボエもかじりました。


私の父がホルン奏者でしたから、最初の先生は父でした。習い始めたところ順調に進歩したので、そのまま自然にプロのホルン奏者になるんだ、という雰囲気になっていきました。」

 

── 先程、オーケストラに入ってからクラシック音楽に目覚めた、とおっしゃっていましたが、どのような出会いがあったのですか?

 

「学生のオケだったのですが、チャイコフスキーの交響曲第4番を演奏して、初めて『楽しい』という経験をしたのです。それまで、もちろんコンチェルトのソロ・パートや小品の勉強はしてきましたし、演奏することはできたのですが、決して楽しい、という気持ちではありませんでした。


それが、オケで弾いたときに初めて退屈しなかったというか、心から楽しんで演奏できた、というのが印象に残っています。


何故、『楽しい』と感じたかは自分でもよく分からないのですが、偉大な作曲家の作品だったからでしょうか。」

 

── そのオケでの経験がチェコ・フィル入団に繋がったのでしょうか?

 

「オケに入った直接的な理由は経済的な理由でした。17歳のとき、一人でプラハに渡り、お金もなく、それでも生活していかなければならなかったのでオーケストラに入った、というのが本当のところです。

 

その頃、チェコは大革命が起きて混乱の最中でしたから、団員には僅かな給料しか支払われませんでした。それで、とても生活していけないと思い、ドイツのオケ(ミュンヘン・フィル、バンベルク響、ベルリン・フィル)へ移ることを考えたのです。

 

と言いましても、完全にお金のことだけではなく、もちろんオケで弾くことが好きだったのですが、でも、そういった時代でしたし、17という歳で、すべて自分でやっていかなければならなかったので、結果としてそういった選択になりました。

 

…… 実はまだ10代、20歳代の記憶をきちんと整理したことがないので、こういった質問を受けると少々困ってしまうのですが(笑)、とにかく生活するために仕事をしなければいけない状況下で目の前にあった選択肢から選んできた結果、今があります。

 

自分の希望通りに、まっすぐに歩んできたつもりではあるのですが、予想せぬことがおこることもありました。その中で常に心がけていたことは『自分がやりたいことをやる』ということです。なので、世界で最高峰といわれるオケを辞めて、今はフリーなのですが。」(続く)

 

取材:アッコルド

 

Homeへ

サントリーホール
室内楽アカデミー ゲストコンサート

Concert#1 ラデク・バボラーク(ホルン)

日時:6月8日(日)14時 開演(13時20分開場)

会場:サントリーホール ブルーローズ

共演:サントリーホール室内楽アカデミー選抜フェロー

曲目:ライネッケ/ホルン、ヴァイオリンとピアノのための三重奏曲 変ロ長調 op. 274
レイハ/五重奏曲ホ長調op.106、他

指定=3,000円 指定早割=2,000円
サイドビュー=2,000円 サイドビュー早割=1,000円
学生=1,000円
Pコード:218-515

 


室内楽公開マスタークラス
日時:6月8日(日)18時30分(18時15分開場)

会場:サントリーホール ブルーローズ

講師:ラデク・バボラーク(ホルン)

 


〈早割〉
メンバーズ会員先行早割受付
2月8日(土)10時〜2月21日(金)
早割=一般発売よりも2週間早く、

   期間限定の特別価格。
   メンバー会費は無料。

 

●入会&チケット申し込みは、
サントリーホールチケットセンター
0570-55-0017
サントリーホール・メンバーズ・クラブWeb
http://suntoryhall.pia.jp/
 
一般発売
2月22日(土)10時〜
(レインボウ21公演6/9〜11は、4月発売)
 
●サントリーホールチケットセンター
0570-55-0017(10〜18時)
●サントリーホール・メンバーズ・クラブWeb

http://suntoryhall.pia.jp/
●窓口10〜18時
●チケットぴあ 0570-02-9999

ラデク・バボラーク (ホルン)1976年チェコ生まれ。8歳よりホルンを学び、89年よりプラハ音楽院でティルシャル氏に師事、みるみるうちに頭角を現していった。94年、難関として知られるミュンヘン国際コンクールで優勝、「美しく柔らかな音色」、「完璧な演奏」、「ホルンの神童」と評されるなど、世界の注目を集めた。
以来、ヨーロッパ、アメリカなど各地で活発な演奏活動を展開。小澤、バレンボイム、レヴァインなどトップクラスの指揮者の信頼も厚く、これまでベルリン・フィルはもちろん、バイエルン放送響、ロンドン・フィル、ベルリン・ドイツ響、バンベルク響、ケルンWDR響、チェコ・フィル、ミュンヘン・フィル、ザルツブルク・モーツァルテウム管等と共演。その抜きん出たテクニックと若手ながら成熟した音楽が大きな話題になっている。テレマン、ハイドンからモーツァルト、R.シュトラウス、サン=サーンス、現代音楽まで幅広いレパートリーを持ち、現在もさらにレパートリーを広げつつある。
これまでチェコ・フィル、ミュンヘン・フィル、バンベルク響、ベルリン・フィルのソロ・ホルン奏者を歴任。その他にもサイトウ・キネン・オーケストラ、水戸室内管をはじめとする世界のオーケストラにも参加。ソリストとしても、オーケストラとの共演、チェコ・フィル時代の仲間を中心に結成した木管五重奏団アフラートゥス・クインテットとして活動をはじめ、エマニュエル・パユ、フランソワ・ルルー等の素晴らしいソリスト達とともに室内楽活動も続けている。
 
また近年は指揮者としての活躍も目覚ましく、自ら創設したチェコ・シンフォニエッタの定期的なシリーズも開始、日本でも2013年10月水戸室内管弦楽団定期演奏会にデビュー、オーケストラの楽員、そしてもちろん聴衆からも絶大な支持を集めた。
バボラークの尊敬するホルン界の巨匠ヘルマン・バウマンは「彼の演奏は我々を18世紀の祝祭的な雰囲気へと連れていってくれる。チャーミングで柔らかな音色はこの上なく耳に心地よく響く。その演奏の繊細さと表現力の豊かさはホルンという楽器を最高に歌わせ、その解釈は自然な力とナイーヴな素朴さを生み出す」と評している。

bottom of page