top of page

今年も、ホルン奏者 ラデク・バボラークさんが

室内楽アカデミー ゲストコンサートに登場。
「サントリーホール室内楽アカデミー」は、

学業期を終えた若手奏者のキャリアアップの場として

2010年に開講。

そのアカデミー・フェロー(受講生)選抜メンバーと

バボラークさんが共演する。
1月13、14日に行なわれた

「サントリーホール室内楽アカデミー」ワークショップでの

指導の後、バボラークさんにお話をうかがった。

今回はその2回目。

ベルリン・フィルを退団して、現在は・・・

ホルン奏者

ラデク・バボラークさんに訊く〈2〉

音楽に対してオープンになった

 

── ソロ活動に専念したい、という気持ちも?

 

「何ヶ月も考えて出した結果なのですが、私にとって、ソリストになるということはそれほど重要なことではなく、辞めた理由のひとつには、指揮活動をしたかったということがあります。

 

もしかしたら、指揮活動を始めるには年齢的に遅いのかもしれませんから、今オケを辞めるか、そうでなければオケでの人生を全うするか、どちらかだと思ったのです。そして何ヶ月も考えた結果として、辞めることにしました。

 

今はアンサンブルをやったり、ソロをやったり、指揮をしたり…… いろいろなことをやらなければなりません。今シーズンは約15プログラム指揮をするので大変なのですが、アドベンチャーとでもいいますか、充実しています。

 

例えば、最近では、オーケストラとのコンサートでも、まず最初に序曲を指揮して、その後コンチェルトでソロを吹き、後半の交響曲でまた指揮をする、といったことをするので、


ベルリン・フィルにいたころの友人であるフルーティストのエマニュエル・パユさんから、指揮活動を始めると、ソロのキャリアはどんどん下がっていく、そういう人が多い、と言われたのですが(笑)、自分としてはそうはならないようにしたいです。

 

しかし、指揮活動をすることによって作品を新たな視点で見られるようになってきましたし、音楽に対して更にオープンになってきたような気がしています。最終的にはホルンを吹いているとか、指揮をしているとか、そういったことにとらわれないで、もっと広い意味で良い形での音楽を作り続けていきたい、ということが最終的な目標です。そういった意味でも、まだまだ自分は成長していけるのではないかと感じます。」

 

ホルンの魅力

 

── バボラークさんにとって、ホルンの魅力とは?

 

「やはり音色だと思います。フルートやヴァイオリンは華やかでヴィルトゥオーソな楽器ですが、ホルンは決してそういった楽器ではないんですね。オーケストラでの出番も多くはありません。

 

ただ、その限られた数の登場場面の多くがとても重要な場であり、たった1音なのですが、伸ばしている音によってミステリオーソな雰囲気をつくることができたり。そういったところにホルンの魅力があるのではないかな、と思います。

 

シューマンが、『ホルンはオーケストラの魂である』という言葉を残しているのですが、現代でもそれは変わらないと思います。」

 

── オーケストラで重要な場面を吹くとき、緊張されることは?

 

「やはり緊張しますよ(笑)。

 

例えばブルックナーの4番の出だしは弦の静かなトレモロで始まり、その中で1st.ホルンがパッと当てなければならないのです。

 

この作品には、悪夢でうなされたこともあります。弦のトレモロが始まったのだけれど吹けなくて、ずっとひたすら弦のトレモロが続いている、という悪夢でした(笑)。

 

もし仮に失敗したとしても、曲自体は先に進むかもしれませんが、曲の冒頭をぶち壊してしまうことになりますので、とても緊張します。そういった意味では、モーツァルトやシュトラウスのコンチェルトを演奏するよりもずっと難しいです。コンチェルトは音数が多いので、その中でいくつかの音をミスしたところでパーセンテージとしては大したことはないかもしれませんが、オーケストラの場合は、ホルンが居るのか居ないのかも分からないような状態で、いくつかの聞こえてくる音でミスをしてしまうと、それはかなりの割合でのミス、ということになってしまいますから(笑)。」

 

── ホルンを演奏する方々にアドバイスをいただけますか?

 

「世界一のホルン奏者になることはそれほど重要なことではありません。ヨーロッパに比べて日本はアマチュアのホルン奏者がたくさんいらして、本当に嬉しいことです。
趣味として音楽を楽しんでくださる方々に対してお話をするとしたら、具体的なテクニックについては皆さん各々お持ちのものが違うと思いますので、演奏を聴かせていただかないとアドバイスはできないのですが、やはり何よりもお伝えしたいのは音楽を楽しみ続けてほしい、ということです。これからもずっと、ホルンという楽器を愛し続けていってください。」

 

── 最後に聴衆にメッセージを。

 

「ベストを尽くしますので、ぜひコンサートに来て楽しんでください。」

 

☆お得な早割実施中☆

サントリーホール
室内楽アカデミー ゲストコンサート

Concert#1 ラデク・バボラーク(ホルン)

日時:6月8日(日)14時 開演(13時20分開場)

会場:サントリーホール ブルーローズ

共演:サントリーホール室内楽アカデミー選抜フェロー

曲目:ライネッケ/ホルン、ヴァイオリンとピアノのための三重奏曲 変ロ長調 op. 274
レイハ/五重奏曲ホ長調op.106、他

指定=3,000円 指定早割=2,000円
サイドビュー=2,000円 サイドビュー早割=1,000円
学生=1,000円
Pコード:218-515

 


室内楽公開マスタークラス
日時:6月8日(日)18時30分(18時15分開場)

会場:サントリーホール ブルーローズ

講師:ラデク・バボラーク(ホルン)

 


〈早割〉
メンバーズ会員先行早割受付
2月8日(土)10時〜2月21日(金)
早割=一般発売よりも2週間早く、

   期間限定の特別価格。
   メンバー会費は無料。

 

●入会&チケット申し込みは、
サントリーホールチケットセンター
0570-55-0017
サントリーホール・メンバーズ・クラブWeb
http://suntoryhall.pia.jp/
 
一般発売
2月22日(土)10時〜
(レインボウ21公演6/9〜11は、4月発売)
 
●サントリーホールチケットセンター
0570-55-0017(10〜18時)
●サントリーホール・メンバーズ・クラブWeb

http://suntoryhall.pia.jp/
●窓口10〜18時
●チケットぴあ 0570-02-9999

あの安定した音と心に響く音色。もしや楽器にヒミツがあるのでは?と思い(笑)、インタヴュー終了後、お使いの楽器についてうかがいました。

 

 

ーー お使いの楽器を教えていただけますか? いくつかの楽器を使い分けている?

 

「楽器は基本的に1台です。実は1年前に、ドイツのメジャーな楽器メーカーのものから、デュルクという小さな楽器メーカーのものに替えたのですが、工房の規模が小さい分、楽器ひとつひとつに対して密度の濃い向き合い方をされています。今、その楽器メーカーとコラボレーションして一緒に楽器の開発をしています。」

 

ーー マウスピースは?

 

「内緒です(笑)。」

 

 

 

取材:アッコルド

 

Homeへ

「サントリーホール室内楽アカデミー」ワークショップにて。
写真提供:サントリーホール

bottom of page